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INTERVIEW Miki Kikuchi 菊地美希さん(高校2年生)ホームステイ先:ニュージーランド

人と人をつなげる存在になりたい。

最初に私たちの前に座った菊地さんの表情は、先程まで行われていた交流会の影響からかどこか高揚した様子でした。交流会に集まっていたのは、3月に菊地さんとともにニュージーランドへと旅立つSOKメンバーの中高生たちと、以前にホームステイを経験したSOKのOG・OBの皆さん。そして、菊地さんがホームステイ中に通学する現地ホスト校「アッパーハットカレッジ」から日本に研修旅行にやってきた中高校生たち21名でした。

「この交流会で、ホームステイに行く前に、ニュージーランドの中高生と交流することができてうれしかったです。最初は話しかけても会話が続かなくて、自分のことを知ってもらうのも、相手のことを知るのも難しかったのですが、会が終わりに近づく頃には仲良くなった子たちもいて、よかったなと思っています。ニュージーランドで再会するのが楽しみです」

そう語る菊地さん。まずはなぜ海外に興味を持ち、ニュージーランドに行きたかったのか、その思いを伺いました。

「友達と一緒にいるときは、いつも楽しい雰囲気でいたいと思っています。理想としては、あそこにいけば楽しそうだねって、みんなに思ってもらえるような場をつくれる人になりたくて。でも、実際には、友達と別の友だちの意見が合わなかったり、仲良くなれないことがあったりして、戸惑うことも……。こんなとき、私に何ができるだろう?どうすればいいんだろう?と考えたりすることがあります。そこで頭に浮かんだのが、日本人同士のつながりだけではなくて、もっといろいろなバックグラウンドを持った人たちが暮らす海外では、どんなふうにつながり、コミュニケーションを取っているのかを知りたいということでした。それが、ホームステイに行きたいと考えた一番のきっかけです」

この思いに至るには、小学校2年生のときに亡くなったお母さんの影響も大きいと言います。

「母は、おしゃべりなほうではなかったし、友達が多い人だと思っていませんでした。でも母が亡くなったとき、大勢の方がお葬式に来てくださって、『あなたのお母さんは人に気を使う人だったよ』『いろいろと世話を焼いてくれる人だったよ』と、たくさんの方に声をかけてもらったんです。私たち家族をつないでいたのも母の存在だったと思います。明るく、家族の中心にいた母がいなくなったことで、父や兄とのコミュニケーションが取りづらくなる時期がありました。当時の私は、家の雰囲気が悪いことに気づきながらも『みんなで話し合おうよ』と切り出す勇気はなく、でもこのままではいけないという思いは強くあり、葛藤していました。この時に、人と人をつなげる役割の大切さを感じたのだと思います」

お母さんのように、人と人をつなげるような存在になりたい。そのために、今いる自分の環境の外の世界にヒントがあるのではないか?そう考えた菊地さん。この日出会ったニュージーランドの高校生からも刺激を受けたといいます。

「私は普段から、周りの目を気にしすぎるところがあるし、自分の欠点はあまり人に知られたくないと思って過ごしているところがあります。でも、今日出会ったみんなは、すごくオープンな雰囲気で、初対面の私にもプライベートなことをさらりと教えてくれるし、男の子と女の子が友達同士、肩を組んで歩いている姿を見て、人と人の距離感がとても近いなと感じました。きっと互いに周りの目を気にしすぎたりすることもないんだろうなって。同世代でもここまで違うのかと思ったし、ホームステイをする2週間で、いろいろな発見ができるのではないかと、とても楽しみになりました」

地元のタリーズコーヒーで参加を決意。

実は、このSOKへの参加を決めたのが、たまたまタリーズコーヒーの店舗だったという菊地さん。そのことについて伺うと「そうなんです」と明るく答えてくれました。

「海外に行ってみたいという気持ちになったとき、まずはホームステイや国際交流に参加している先輩に話を聞きたいと思いました。そのときに先輩と話をしたのが地元の駅にあるタリーズだったんです。聞きたいことがたくさんあったし、話が盛り上がって、結局お店の閉店時間に。話が終わらなかったので、駅の待合室に移って、さらに話し続けました」

海外留学・ホームステイをするには、どんな選択肢があるのか。そんな話をするなかで先輩が上げてくれたリストのなかにSOKがあったと言います。

「なぜ行きたいのか? 海外で何を勉強したいのか、しっかり言葉で説明できるようにしないといけないよと、タリーズの店内でアドバイスをもらってとてもためになりました」

そう言いながら、「あっ、でもタリーズで飲んだのは、コーヒーではなく『ヨーグルト&アサイー』なんです」と付け加え、ニコリと笑う菊地さん。コーヒーはあまり飲まないの?という質問に、こんなエピソードを教えてくれました。

「私自身は、コーヒーはあまり飲まないです。でも母はコーヒーが好きな人でした。うちは、自営業で、自宅が事務所になっているのですが、3時になるとおやつとともにコーヒーで休憩するのが習慣。今も休憩時間になると、事務員さんが自分たちのコーヒーと一緒に母の分も淹れてくれて、仏前に供えてくださっています」

私の経験した震災を正直に話したい

そうして、決まったSOKを通じたニュージーランド ホームステイ。海外に行くには、他の選択肢があるなか、なぜSOKを選んだのか、そこには、ただ海外に行く、ホームステイをするだけではない、大切な要素があると言います。

「英語が勉強できること、海外の人とコミュニケーションを取れることだけでも、もちろん素晴らしい経験になると思います。でも、それに加えて、東日本大震災で自分がした経験を話したり、互いに経験を共有し合って考えたり、そのために支援してくださる人がたくさんいらっしゃる環境はとてもいいなと思いました。いろいろな意味で、自分自身の行動の幅が広がるのではないかと思ったのです」

ニュージーランド滞在の行程には、東日本大震災の少し前の2011年2月22日にマグニチュード6.1の地震を経験し、被災したクライストチャーチを訪れることも決まっており、東日本大震災についてクライストチャーチ現市長やカンタベリー大学に通う学生たちと話す機会もあります。その際も、当時のことをできるだけリアルに伝えたいと菊地さん。

「ニュースなどでは、沿岸部の情報が主に伝えられたように思いますし、少しきれいに伝えすぎているのではないかと感じるところもありました。私は、できるだけ私自身が経験した内陸部の被災地の生活や、報道されないような当時の暮らしの様子など、小さなことも正直に伝えられたらと思っています」

そのためには、準備が必要と菊地さん。

「まずは、今日切実に感じたこととして、出発までに英語をもっともっと勉強しようと思います。それから、ニュージーランドのことを調べることも大切だけど、日本についてもっと知らなくてはいけないと思いました。今日も、法被の帯の結び方や、お寺に初詣に行ったときにどういうふうに詣ればいいのか?など、たくさん質問を受けたのですが、ちゃんと答えられなかったんです。日本について知っていることがたくさんあれば、話題のきっかけになったり、話が膨らんだりすると思います。出発までにいろいろと勉強したいですね」

さらに、今回のホームステイへの期待として、こんなふうに語ってくれました。

「体を動かすのがとても好きなので、ホストファミリーとスポーツなどをして仲良くなれたらいいなぁと思います。そして、先輩たちのように『ホストファミリーが第二の家族になりました』と言えるくらい仲良くなって帰ってきたいです。それから、いま一番関心のある“コミュニケーション”や“人と人とのつながり”について学び、できることなら将来を考える上でのヒントや新たな視点となるものを見つけることができたらと思っています。あ、それに帰るまでに必ずバンジージャンプには挑戦したいですね・笑」

2カ月後にせまった出発を前に少し不安な様子を見せながらも、希望いっぱいに思いを語ってくれた菊地さん。ニュージーランドで菊地さんが、どんな経験をし、何を感じて帰ってくるのかがとても楽しみです。